カンホアの塩ができるまで
1.海水を最初の塩田に引き入れる…海水(濃度約3.4%)を濃度5%にする
カンホアの塩をつくる塩田のある地域は大きな入り江になっています。
その入り江の奥に水門があり、 まず海水はこの水門を通って、大きな池に移され、少し
2.塩田を移しながらさらに濃縮する…濃度5%から15%にします
次に、この大きな池から、ちょろちょろと流しながら、次の塩田、次の塩田へと移され少しづつ濃くなっていきます。このとき、段階的に塩田のサイズは小さくなっていきます。
この段階からカンホアの塩の専用の天日海塩田になります。最初の一番大きな塩田で約5%になった海水は、その後、お天気を見極めながら(濃くなるスピードを見ながら)、5~6段階にわたって、より面積を絞った塩田に移されていきます。
そして最後から2番目の塩田で、常に濃度15%が保たれるようにされます。これで次の塩を結晶させる最後の塩田に移されるのを待ちます。こうして濃度15%から析出するカルシウム分が次の最後の塩田で塩に適度に含まれることになります。
カルシウム分を含ませないようにする一般の天日製法では、最後から2番目の塩田で、カルシウム分の出きった25%までにし、最後の塩田に移すのを待ちます。
3.濃度15%の海水を最後の塩田に移す…これで結晶するのを待ちます
次に、この大濃度15%になった海水が、収穫する最後の塩田に移されます。
ここは塩を結晶させるための塩田なので、「結晶池」とも呼ばれます。これで濃度15%から析出するカルシウム分を始めとし、順々に塩になっていく海水の成分を取り込む準備ができたことになります。
海水中のミネラル成分が全体的に塩に含まれるよう、この結晶池は特別にタイル張りになってます。
一般の塩田の床は、田んぼのような粘土質の泥ですが、このタイル張りによって、泥に入り込む海水の成分も塩に取り込めると同時に、泥が塩に混じらないことにもなります。
そして、この後の工程で、一般の天日海塩では行われる「塩を洗う」ことをしないで済むことにも繋がっています。
4.様々な海水の成分が結晶していく…様々な海水の成分が順々に塩になっていきます
この結晶池で、濃度15%の海水は31%まで濃縮されます。
この「15%から31%まで」の間に析出する海水のミネラル成分がカンホアの塩になります。具体的には、まず15%から25%の間にカルシウム分(淡いエグ味)、25%からはナトリウム分(塩辛味)、そして27%からカリウム分(酸味)、そのすぐ後からマグネシウム分(苦味)と、次々にいろんな成分が塩の結晶を形作り、同時に塩の味が作られます。
こうして「海水の成分を“全体的”に取り込む」ことで、カンホアの塩ならではの「海のように、深く豊かな味わい」を作ります。
5.いよいよ収穫…待ちに待った収穫は、海水からおよそ2-3ヶ月後
海水を最初の塩田に引き入れてからおよそ2~3ヶ月後。
元々濃度3.4%程だった海水が、31%まで濃縮されたところで、結晶した塩を収穫します。T字型のトンボで塩田の底にたまった塩をかき集めます。このとき濃度31%ですから、海水は全部塩にはなっていません。
結晶した塩が母液に浸かっている状態で、母液がニガリです。これ以上濃縮すると、マグネシウム分が急激に多く結晶するため、極端に苦い塩になってしまいます。
この31%で収穫し、ちょうどいい苦味になります。かき集めた後は、竹製の天秤棒で担いで高床の小屋まで運びます。
6.枯らし…余分なニガリだけを重力で落とし、ちょうどよくします
収穫された塩は、竹と木でできた小屋に山積みにされ、3日ほどかけて適度に 塩の結晶の周りに着いた苦汁(にがり)を落とします。
収穫されたばかりの塩はニガリでビショビショの状態です。そこで竹製のムシロが敷かれた高床式の小屋の中にいったん積み、自然の重力で床下へニガリを落とします。この時点で、カンホアの塩の味がちょうどよく調った状態です。昔の日本の塩作りでは、この工程を「枯らし」と呼びました。
7.石臼挽き…丁寧に少しずつ細かくします。※『結晶の粒のまま』はこの工程がありません
大きな結晶の粒を、溶けやすくなるよう石臼で挽いて細かくします。
一般の天日海塩の場合は、一度にたくさん粉砕出来るように、いったん溶かして(釜焚きのような)細かい粒に再結晶させます。でも、それだと溶けやすいマグネシウム分・カリウム分などが落ち、成分・味が変わるため、カンホアの塩は石臼で挽き、結晶の粒を単純に砕くだけ。だから、成分・味はそのままです。
石臼で挽くのは少量ずつしかできませんが、これもカンホアの塩のこだわりです。
8.【石臼挽き】を石窯で焼く…焼成温度は600℃ ※『結晶の粒のまま・石臼挽き』はこの工程がありません。
石臼挽きしたカンホアの塩を陶器の壺に入れ、カンホアの塩の【石窯 焼き塩】専用に作られた石窯で焼きます。3日間かけてじっくりと焼きます。最高温度は600℃。
この温度でカンホアの塩に含まれる「湿気やすく苦い味」のマグネシウム分(塩化マグネシウム)が、「湿気にくくまろやかな味わい」の酸化マグネシウムに変わります。水分がほとんどなくなりサラサラなのはもちろん、一段と柔らかでデリケートな塩味になった【石窯 焼き塩】ができ上がります。
9.夾雑物を除去し、袋詰め…夾雑物をひとつずつ手で取り除く緻密な作業です
最後の工程として、カンホアの塩は、少量ずつお盆の上に広げられ、目と手によって夾雑物(きょうざつぶつ)を丁寧に取り除きます。
一般の天日海塩の場合は、洗浄されたり、いったん溶かして濾過されますが、洗っても溶かしてもマグネシウム分・カリウム分などの成分は落ち、味が変わります。
ここまでの全工程でせっかく作り上げたカンホアの塩の成分・味です。それを活かすために、これは地味でありとても緻密な作業ですが、欠かせないものです。
カンホアの塩の姉妹品
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